「令和8年度の公定価格が見直されたらしいが、自分の園の会計・予算にどう関係するのか分からない」——こども家庭庁から令和8年4月に公表された見直し事項には、単価の改定だけでなく、令和8年7月から適用される新しい減算など、経理担当者が見落とすと影響の大きい変更が含まれています。
このページでは、こども家庭庁の公表資料をもとに、令和8年度公定価格改定のうち保育所の会計・予算実務に直結する部分を整理し、いつまでに何を確認すべきかを解説します。
令和8年度の公定価格・基準等の見直しは、こども家庭庁成育局保育政策課が公表した「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項 ~各改定事項概要資料~」(令和8年4月公表)にまとめられています。保育士等の処遇改善(月額+5.3%相当の改善を継続)を土台に、単価の改定、加算の新設・見直し、配置基準の経過措置延長、そして事務処理面での新しい減算措置が同時に盛り込まれているのが特徴です。
ここから先は、この資料のうち保育所の会計・予算実務に直接関わる項目を優先して取り上げます。制度の詳細な条件は個別の告示・通知やこども家庭庁のFAQで確認するようにしてください。
| 改定項目 | 内容(概要) | 施行時期 |
|---|---|---|
| 処遇改善 | 令和7年度補正予算で措置した月額+5.3%相当の処遇改善を令和8年度も引き続き確保 | 令和8年度 |
| 施設機能強化推進費加算 | 単価を保育所・幼稚園・認定こども園で20万円、その他の事業で10万円に引き上げ(現行は一律16万円)。複数事業実施要件を廃止し、居宅訪問型保育事業も対象に追加 | 令和8年度 |
| 保育ICT推進加算(新設) | 単価は幼稚園・保育所・認定こども園で30万円、地域型保育事業で18万円。ICT活用責任者の配置や、登降園管理・保護者連絡・保育の計画と記録・キャッシュレス決済の4機能の活用などが要件 | 令和8年度 |
| 特別地域保育体制確保対応加算(新設) | 過疎地域等の対象地域を有する市町村に所在する保育所・認定こども園のうち、利用定員が20人であり、かつ利用子ども数が15人以下であること等の要件を満たす施設が対象 | 令和8年度 |
| 3歳児の職員配置基準(15:1)の経過措置 | 経過措置の終期を令和9年度末(令和10年3月31日)まで延長 | 令和8年度も継続 |
| 調理員の体制充実 | 定員21〜40人の施設で、調理員を2人体制(うち1人は非常勤・週5日1日4時間分の費用を算入)に | 令和8年度 |
保育ICT推進加算は、園児の登降園管理や保護者連絡といった保育業務の周辺システムの活用を前提とした加算です。会計システムそのものを直接の対象とする加算ではありませんが、日々の記帳や請求業務の効率化を検討するきっかけとして、あわせて自法人のシステム環境を点検しておくとよいでしょう。
今回の見直しでもっとも実務上の注意が必要なのが、令和8年7月から適用が始まる2つの減算です。いずれも「加算が取れなくなる」話ではなく、本体の給付費・委託費そのものが減額される仕組みである点に注意してください。
どちらも「未提出・未策定の状態が一定期間続くと減算される」という設計です。自法人の安全計画の策定状況、経営情報等報告の提出状況を、この機会に確認しておくことをおすすめします。この2つの減算は運用面の話であり、既存記事で紹介している指摘リスクとも重なる部分があるため、あわせて確認しておくと理解が深まります。
令和7年度補正予算で措置された月額+5.3%相当の処遇改善は、令和8年度も引き続き確保される方針です。処遇改善分は公定価格(委託費・施設型給付費)に含めて入金されるため、会計上は処遇改善分だけを独立した勘定科目で区別することができない点は従来どおり変わりません。
給与設計への反映方法や実績報告書の作成手順については、既存記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
保育ICT推進加算や施設機能強化推進費加算の増額など、新しく生まれる収入・支出の見込みは、当初予算に織り込めなかった場合、補正予算での対応が必要になります。特に保育ICT推進加算は、ICT活用責任者の配置や4つの機能の活用といった要件に加え、「ここdeサーチ」上の施設情報を年1回最新化していることや、同一年度に保育所等におけるICT化推進等事業の補助を受けてシステム導入等を行っていないことも条件になるため、自法人が対象年度に算定できるかどうかを先に確認しておく必要があります。
拠点区分別の予算編成・補正予算の考え方については、既存記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
また、こども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)を実施している法人は、主幹教諭等専任加算などの複数事業要件の選択肢に同事業の実施が追加されています。区分経理の実務については、既存記事をご参照ください。
令和8年度の公定価格改定は、単価の改定や加算の新設だけでなく、安全計画や経営情報等報告といった「事務処理の実施状況」が直接減算につながるという新しい仕組みが導入された点が特徴です。加算・減算のメニューが増えるほど、日々の会計処理や進捗管理の負担も増えていきます。
こうした制度変更のたびに手作業での確認・転記が発生する体制のままでは、対応漏れのリスクも高まります。委託費・施設型給付費の入金状況や加算の算定根拠を日常的に可視化できる会計システムを整えておくことも、対応の選択肢のひとつです。会計システムの選び方については、下記のページで紹介していますので、あわせてご参考にしてください。
本メディアでは、「保育・介護・障がい者施設」それぞれのの課題を解決するおすすめの会計システムを紹介しています。システム選びの比較・検討にお役立てください。


